***続***




運転手「いいえ。普通料金しか頂戴しておりません。」





客「すごいねぇ~。



こんなタクシーばっかりだったらいいのにですねぇ。



ところで、いつもどの辺だったらつかまりうますか?」





運転手「そうですねぇ。



おかげさまでほぼ毎日予約で朝から晩までびっしり詰まっておりまして、



明日も、もう予約でいっぱいなんですよ。



本当に皆様のおかげさまです。」





客「すごいですねぇ~。



でも、今日は予約なかったんですか?」






運転手「それがですね、



最後のお客さん乗せ終わって、



家に帰っていたところなんですよ。」






客「あぁ、そうだったんですか?



本当にすみません・・・」




運転手「それがですね、



私も北畑田なんですよ。



だから、ちょうどよかったです。



それによいお客さんですし。



でも正直、朝早くから予約がはいっているもので全く逆方向だったらどうしようかと思いましたけどね。笑」





客「じゃあ、本当によかった。



ところで、予約ってどうしたらいいんですか?」






運転手「お客様の前に名詞サイズのカードをおいておりますので、そちらをご覧になっていただければ幸いです。」




客「携帯番号か、携帯のメールに連絡すればいいんですね?



やっぱり、2日前には予約しとかないといけないんですよね?」





運転手「そうですねぇ。その日でもとりあえずご連絡いただければ行き先などによって、大丈夫かもしれませんので・・・」




客「そうですか、わかりました。



それでこのカードなんですけど全部持っていっていいですか?」





運転手「どうぞどうぞ。


そろそろかと思いますけど、どちらで停めましょうか?」





客「あっという間でしたねぇ。このさきの、コンビニでお願いします。」






運転手「本日は、ありがとうございました。


また、お会いできる日を楽しみにお待ちしております。」





客「いいえ、こちらこそ。また、よろしくお願いします。」






翌日、会社の朝礼にて・・・





企業の営業部長だった客は、


このタクシーの運転手のサービス・接客の素晴らしさをありのままに伝え、


名刺サイズのカードを一人二枚ずつ配った。


一枚は、もちろん自分のもの。


もう一枚は、一番身近な誰かにあげるように伝えた。





もちろん、クチコミウイルスは急速に広まることとなった。




そして、営業部の成績も急上昇した。




また、運転手さんはもっと忙しい日々を送ることになった。




***続***